ともしび

第74回ヴェネチア国際映画祭で主演女優賞を受賞した女優シャーロット・ランプリングの最新作。ベルギーの小さな地方都市。老年に差し掛かったアンナと夫は、慎ましやかな暮らしを送っていた。小さなダイニングでの煮込みだけの夕食は、いつものメニューだ。会話こそないが、そこには数十年の時間が培った信頼があるはずだった。しかし、次の日夫は、ある疑惑により警察に出頭し、そのまま収監される。それでもアンナの生活にそれほどの変化はないかに見えた。家政婦の仕事、そのパート代で通う演劇クラスや会員制プールでの余暇など、すべてはルーチンの中で執り行われていく。けれどその生活にも、次第に狂いが生じていく。日常を取り戻すべく生活を続けるアンナだったが、そこに流れ込むのは、不安と孤独の冷たい雫だった。人生の終盤、さまざまな業を背負ったひとりの女が、もう一度“生きなおし”を図るまでの、哀しみと決意を追う人生最後の物語。今作が長編2作目のアンドレア・パラオロがメガホンを取り、『まぼろし』『さざなみ』に連なる、大女優ランプリングの実人生が反映されたかのような感動のドラマを生み出した。
[Hannah/2017年/フランス・イタリア・ベルギー合作/93分/DCP]

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